絶え間ない細胞分裂を毎日目撃してきたのだが、未だに上手く信じられないでいる。誰もがこうやって生まれてきたのなら、全ての出産は奇跡であり、全人類は一人一人が奇跡の人だ。
ノブ(『ケシゴムは嘘を消せない』より)
そう思えれば、自然と相手を敬えるような気がする。
常にそう思っていられるようにマインドコントロールするのが難しいけど。
物語の主人公ノブの言葉。
離婚した日に現れた透明人間の女タマと暮らすうちに、うだつの上がらない主人公ノブがほんわりとした暖かい幸せを手に入れる話。
タマが妊娠して(ノブの子ではない)、胎児が透明でないから、その細胞分裂が毎日見えるんですね。
誰もが見たことのない人の生まれる瞬間を見たノブの言葉。
普段は、意識しないけど、本当に私たちが生まれてくるのは奇跡的なことなんだな、って。