交感神経と副交換神経。ロンダリングに似てるかもしれません
「交感神経と副交換神経。ロンダリングに似てるかもしれません」
「ええ?」亮が笑った。
「緊張したものをおだやかな日常に戻すの」
「ああ、なるほど」
「おだやかな日常はすばらしい。おだやかな東京はなんて美しいんでしょう」りさ子は外を指さした。「だけど、 交感神経みたいに、緊張もきっとなにかに必要なんでしょう」
りさ子と亮の会話(『東京ロンダリング』より)
ロンダリングとは、入居者が死亡した賃貸住宅を、前入居者死にましたよ、という情報を次に借りる人に説明しなくて住むように、ちょこっと住むお仕事。
死という緊張をロンダリングによって平常に戻していく。
緊張とおだやかさの程よいバランス。
それが人生を上手く運んでくれるのかもしれない。