<落とし穴の中で幸せそうにしている人>が描かれた物語を好むようになりました。
(略)僕は以前のように素直な気持ちでは<落とし穴に蓋がされている物語>を読めなくなりました。その代わり、<落とし穴の中で幸せそうにしている人>が描かれた物語を好むようになりました。僕は思ったのです。暗く深く狭く寒い穴の中で、強がりでなく微笑んでいられる人の話が聞きたい。多分、今の自分にとって、それ以上の慰めは存在しないだろうから。
──三秋縋(『いたいのいたいの、とんでゆけ』あとがきより)
落とし穴に蓋がされている、という考え方がじわっときた。
危なそうなところには全部神様が蓋をしてくれて、
危なげなくキャラクターたちが目標に邁進していく物語。
ちょっとしたハプニングはあるけれど、予定調和なニオイがぷんぷん。
そんな主人公つえぇー!な物語が増えてますね。
それが悪いって話じゃないんですけれど、
私はちょっとひねくれてるぐらいの物語の方が最近は好きになってきました。
ストレートに正義が勝つよりも、正義は勝つけど、
その勝ちは本当に正しいのか?みたいな問いかけがある物語が胸に響きます。
単純な娯楽としてではなく、フィクションにも意義を見出したいからなのか。
なんなのかよくわかりませんが、考え方が大人びるってのはこういうことを言うんですかね。
とりあえず、作品自体も一押しです(宣伝)