いちまんのいいことば

すてきなことばあつめました

おれは描かなくてはいけない、といっているんだ。描かずにはいられないんだ。

川に落ちれば、泳ぎのうまい下手は関係ない。岸に上がるが溺れるか、ふたつにひとつだ

 

──チャールズ・ストリックランド(『月と六ペンス』より)

 

この物語のメインキャラクター、ストリックランドが、イギリスで勤めていた証券会社をやめ、妻子を捨てて絵を描くため、フランスに単身去ってしまう。

それを追いかけて欲しいと奥さんに頼まれた「私」がパリで見つけたストリックランドに言われた言葉。

 

安定した仕事についていて、それなりに成功していて、子供ももうずいぶん大きくなっているし、妻は妻で作家たちと交流することに忙しい。おとなしくて影が薄い主人だったストリックランドが、突然絵に目覚め、何かに憑かれたように描き始める。

それまで、絵のことなどさっぱり習ったこともないストリックランドだったが、一心不乱に描いたものたちは、その死後、その絵は世間的にも認められる素晴らしい作品だったことが明らかになる。

新しいことを始めるのは技術じゃなくて情熱。いっそ取り憑かれたような情熱を胸に抱いた時こそ、どんな困難があるとわかっていても挑戦する価値のある夢を見つけたってことなのだ。

 

月と六ペンス (新潮文庫)

月と六ペンス (新潮文庫)