いちまんのいいことば

すてきなことばあつめました

何が自然かというのは、きっと人によって違うのでしょう。

僕自身はこれらの作品を、とくにメランコリーや諦観に満ちた小説とも考えていません。僕としては、ごく自然な人間感情を、ごく自然に描いただけです。だからそんな風に質問されても困ってしまいます。
 たとえばフローベルの『ボヴァリー夫人』は、メランコリーと諦観に満ちた小説だと僕も思います。でもフローベルに言わせれば、「いや、あれはごく自然な人間感情をごく自然に描いただけだよ」ということになるのかもしれません。何が自然かというのは、きっと人によって違うのでしょう。

 

──村上春樹(『村上春樹 雑文集』「ポスト・コミュニズムの世界からの質問」より)

 

普通とか自然とかってなんなんだろう。

私にとっての普通は、相手にとっての普通じゃないかもしれない。

普通はこう考えるよね、とか。自然な流れを考えるとこうなるはず、とか。結構今までの経験とかを元に推測するんだけど、それを100%正しいと信じこんじゃいけないわけだ。

あと、これは不自然だからやーめたなんてのも、本当は自分の思い込みなのかもしれない。自分がやったことないことだから、結果の想像がつかなくて不自然に思えるだけで、やってみたら案外うまくいくことだってある。上手い具体例になる実体験はないけど(笑)

必要なのは勇気と、それから不自然なことも受け入れられる余裕なのかもね。

 

村上春樹 雑文集 (新潮文庫)

村上春樹 雑文集 (新潮文庫)