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いちまんのいいことば

すてきなことばあつめました

死を前にして、藁にも(悪魔にも)すがりたい意地汚い人間の本性を自分の中に垣間見る。

間もなく死ぬという運命を、僕なりに受け止めていたはずだった。なのにいざ命を延ばしてもらえるかもしれないとなると、それがどんなにバカバカしい取引だとしてもすがってしまう。死ぬときは悪あがきせず、落ち着いて、安らかに。自分はそうありたいし、そうなると思っていた。

 

──主人公(僕)(『世界から猫が消えたなら』より)

 

「死ぬときは悪あがきせず、落ち着いて、安らかに」なんて幻想だよね。悪あがきする気が起きる間もなく死ぬぐらいじゃないの、みっともないぐらいに悪あがきせずにすむパターンって。あとは、もはや理性が存在しない状態で生き続けてるとか?(これをカウントしたくはないけど)

悪あがきするに決まってる。本当にリアルに実感できる数字(数ヶ月とか、1年とか)が見えて、初めて死を現実のものとして理解する。今まで長いこと生きてきたのに、何をやってたんだ自分は、と後悔する。まだまだやりたいことがあると、今さら奮起したくなる。そうしたら、悪あがきもしたくなる。

今もしなんか余命宣告されるような病気にかかったら、私なら絶対にこう思う。まだあと、今まで生きてきたよりも長い時間生きるんだから、と無意識に考えてるところが急に消えちゃうんだから。

明日死んでも後悔しない生き方ってのには憧れるし、いくつかの選択肢の中から選ぶ時には、後悔しない選択をしようとしてるけど、それでも、明日死んだら後悔しかないと思う。後悔っていうか、死にたくなかったって気持ちでいっぱいだろうな。

だから、悪あがきするのはしゃーないのよ。少しでも悪あがきが少なくて済むように、自分の人生にがっかりせずに済むように、そう思いながらちょっとでも後悔のない選択をしていくしかないのよ。

 

世界から猫が消えたなら (小学館文庫)

世界から猫が消えたなら (小学館文庫)