「愛する」とは「消えてほしくない」ということなんだ!
「愛してる」なんて私たち日本人はふだん絶対、言わないよね。こっ恥ずかしくて。かの夏目漱石は「I LOVE YOU」を「月がきれいですね」と訳したとか。なるほどな~。
──なかもりあきお(『世界から猫が消えたなら』解説より)
※注意。若干本のネタバレあり。
この物語では、世界から何かを消す代わりに寿命を一日伸ばすという悪魔との取引を行う。最初に消されたのは電話。今でこそあるのが当たり前だけれど、なければないで人は生きていけそう。
その後も生き続けるために、主人公は次々とモノを消していく。そうして、最後にどうしても消せないものに出会った。いや、それを消すのがツライと気づいたってのが正しいのかな。
普段、大切な人がいてもその人が急にいなくなるなんて思ってもみないから、いなくなってからその大切さに気づくんだよね。
私、父親とそんなに仲がよかったわけじゃなかったけれど(悪いわけでもなく、あんまり関わりあいを持とうとしなかっただけだよ)、いざいなくなってしまうと、それが案外ツラかった。もっと生きていて欲しかったって今でも時々思い起こす。
別れがいつくるかなんて誰にもわからない。だからこそ、この人がいなくなったら悲しいなって思えるような大切な人と過ごす時間を大事にしないといかんですな。