「公平、公正」というものは建前に過ぎず、向こう側でその建前を支えているのはある種の力である
競市を長く運営していく間にはさまざまな苦労もあり、ビジネス的に良い時も悪い時もある。それを支えてきたのは長くその競市に参加している人たちであって、突然やって来て少し高く買い、すぐにいなくなるような人のために開催されているのではない。競りは「参加者に等しく平等」であるべきと思った僕は、当初、そのあたりの事情が飲み込めなかった。
しかし、そういうことこそが、この世界を支配する本当のルールなのかもしれない。
──和田一郎(『僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業』より)
人間がやることに完璧に公平なことなんて存在しない。決まりとして公正を謳っていたとしても、それを運営するのは人間なのだから、ちょっとした贔屓がある方が当然だ。
新しくプロジェクト参入する時に一番ドキドキするのが、上手くその空間に馴染めるかということなんだよね。どうしてもすでに存在するチームの空気ってあるから、新参者は惑わされるし、邪険にされることこそないにせよ、大なり小なり腫れ物扱いされるのは仕方がない。なんたって、確実に馴染んでないんだから。
もちろん、チームの古参メンバーの方がプロジェクト固有の内容には詳しいし、任されることも自然と多くなる。それを羨んでも仕方がないのは分かるんだけど、そのレベルで頼られてみたいなって慣れてくると思い始める。とはいえ、ある程度馴染んだだけであって、経験値が縮まるわけじゃない。
本当は、その人の実力とかやる気をベースに作業を任せるのが公平なんだろうけど、やっぱり仕事を振る側の感情ってどうしても入っちゃうよね。
まぁ、そういう人間味がなかったら、人間じゃないけどさ。
あ、特定の出来事を指してるわけじゃないよ、念のため。
僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語 (自分のビジネスを始めたい人に贈る二〇のエピソード)
- 作者: 和田一郎
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