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いちまんのいいことば

すてきなことばあつめました

悪用できない技術は、実のところ本当に役に立つ技術にもならない。

新しい、役に立つ技術とは世の中を変える力を持っている技術であり、良い方にも悪い方にも使われて、社会に不可欠な技術となっていく。たとえば、原子力の研究は爆弾を作ることもできるが、発電をすることもできる。インターネットはビジネスに不可欠だが、子供には不適切な性的な情報を日々大量に配信している。

 

──(『どうすれば「人」を創れるか: アンドロイドになった私』より)

 

IT業界という最先端のものを取り扱うことの多い環境に身を置く立場としては、捨て置けない言葉だ。でも、この本全体を読めば、その言葉も納得なのかもしれない。

主題となっている、人と見た目にはほぼ変わらないアンドロイド。それは本当に最先端の技術が結集した素晴らしいものなのは間違いない。間違いないけれど、それが誰しもに役立つものかと言われると、現時点では首をかしげるしかない。何せ高い。一般人には手が出ない。容易に使えないという意味では役に立つ度合いは低い。低いけれど、悪用しようとする人が入り込む余地もほぼ無いような気がする。よっぽど関係者で悪どい人がいれば別だけれど。

それとは違い、本書の最後の方に出てきたテレノイド。こちらは携帯の進化版とも呼べそうなもので、サイズもコンパクトでアンドロイドに比べれば、雲泥の差で手頃のようだ。もちろん、機能面で役立たずなわけではなく、声だけの情報でやり取りするにもかかわらず、携帯で電話するよりも相手を身近に感じる代物らしい。となれば、有用性も高いが、悪用性も高くなる。

技術者の端くれとしてはなんとも頭を抱える事態である。でも、だからこそ、その悪用性の高さも頭に入れた上で、有用性の高いものを作っていくしかないのかもしれない。

それから、使い手としては、危ない危ないばっかり言わずに、その技術が良い技術か悪い技術かは使い方によって変わってくる。悪いのは技術自体じゃないってことを肝に命じないといけませんね。