「命よりも大切なものはない。命が一番大事」とは考えないほうがいい。
命が尊いことは確かですが、「自分の命よりも大切なものがある」と思ったほうが、私たちは幸せな人生を送ることができるようです。
「命が何よりも大切」と考えてしまうと、死はネガティブなもの(命の敵)になり、あるときを境に死におびえて生きることになります。
命よりも大切なものを見つけるために、自分以外のもの、内から外に関心を向けてください。あなたに与えられた人生の役割や使命が見えてくるでしょう。──樋野興夫(『明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい』より)
人はいつか死ぬ。ただ、それを意識することはあまりない。本当の老人になるまでは、余命宣告でもされないと無理なんじゃないかな。
死ぬことは怖い。死ぬとすべてが終わってしまう。それでも、死んで終わらせることを選ぶ人もいる。そういう人は、命よりも大切なものがあって、それを見失ってしまったんだろうか、とぼんやり思った。
命は大切だ。だから自らそれを断つようなことはあってはならない。でも、迫り来る死を怯える必要もない。
大事なのは、自分が「いま、ここで、何をするか」
今の自分には何ができるんだろうか。日々それを考えて生きたい。
ガン哲学外来という、ガンになって生きる意味を見失った人たちが集える場所を作った人による一冊から。