いちまんのいいことば

すてきなことばあつめました

だいたい、昔置き忘れてきたものなんて、忘れず取っておいた記憶や思い出に比べれば、大抵みすぼらしいものなんじゃないか

よく言うよ。自分でもみすぼらしいって言ったじゃないか。だいたい、昔置き忘れてきたものなんて、忘れず取っておいた記憶や思い出に比べれば、大抵みすぼらしいものなんじゃないか

 

──土御門夜光(『東京レイヴンズEX3』より)

 

過去編より。茨木童子と彼の千年前に切られて忘れ去られていた腕のことを話しながら。

千年という時が流れても残っていたミイラとなった腕。とはいえ、生きている肉体に比べればずいぶんみすぼらしい。誰がどう見ても。

けれど、これがもっと生々しいまま残っていたとしても、やっぱりみすぼらしく見えたのかもしれない。

ずっと忘れていた自身の腕。それをもはや自分の一部として捉えることなんてできない。

 

まぁ、自分の腕を忘れ去ったり、千年の時を越えることはないけれど、幾度となく思い出して懐かしむ思い出と、引き出しの奥にしまい込まれて忘れていた子供の頃の宝物だったら、やっぱり前者の方が美しく見える気がする。

別に忘れてしまうことが悪いことなんじゃなくて、覚えていることをもっと大切にしないとな、と思った次第です。