いちまんのいいことば

すてきなことばあつめました

小説

目を背けることで膨らむ不安があるのはわかる。

嫌なことから逃げ出すことで、生まれてくる恐怖があることを咲太は知っていた。 小さなことで言えば、試験前に勉強をサボっているときに感じる、あの独特のそわそわした感覚。勉強をしないのは楽だけど、遊んでいても楽しいわけじゃない。 ──梓川咲太(『青…

同い年の集団の中にいるから、他人とのちょっとした違いに目が行く。

いつは背が高いとか、あの子はかわいいとか。あいつは頭がいいとか。あの子はイケてるとか……お互いを基準にして、差を探している。年齢は同じだから、年齢ではないところで、自分はあいつとどう違うのか、何が優れているのか、何が劣っているのかを探してし…

ちゃんと悲しまないと、心の回復が遅れるんです

皆さん、日常生活を取り戻すのに必死で、ゆっくり悲しむ暇もないんですよ。忘れようとするんです。でも、それはよくありません。ひどいことが起きたのですから、むしろゆっくり悲しまなくてはならないんです。犠牲者を悼むことに時間を掛けないと、あとから…

案外と周りが優しい。そういうものに戸惑っている自分を感じる。

でもそこで怖がっていないでこちらからもそうした情愛を伝えるのが、正しいのだろう。 課せられたのは、人としての当たり前。隣人愛。 友達と仲良くなる。 親との関係を良好とする。 周りの人を、大事にする。 ──安達(『安達としまむら (5)』より) しまむ…

過去を振り返らず、前を見つめたまま大事なことを忘れないために。  思い出は、必要なのかもしれない。

仲が良くて喧嘩したわけでもないのに、いつの間にか別れていく。 確固たる絆というものは、接着剤にならないのかもしれない。そうしたとき、どうすればいいのか。それに対する樽見の答えを聞いた気持ちになって、考えることが多かった。 過去を振り返らず、…

『決死の覚悟』と『死を覚悟する』のは、似ているようでまるで違う。

「──お前、死ぬ覚悟はあるか?」 社の声のトーンが変わる。(中略)「ありません」 はっきりと答える。それは、ヤドカリ自身の答えでもあった。『決死の覚悟』と『死を覚悟する』のは、似ているようでまるで違う。ヤドカリは一度死んでいるからこそ分かる。…

自分のすべてを受け入れることができない奴は──早死する

お前も名張さんも、呪いを解こうとしている。けどな、呪いを解いたって、まったく新しい自分になるわけではないんだ。それまでの自分を否定して笑い飛ばすことはできない。俺が一つ教えておいてやる。自分のすべてを受け入れることができない奴は──早死する …

今のボクは自分の弱さを知ってる。

そして、それでもいいやって思ってる。弱さを気づかせてくれた人が周りにいることが、ボクにとって一番大事なことだから ──アキ(『ひとつ海のパラスアテナ (3)』より) シーン的には昨日、一昨日の続き。 自分の弱みを知っている人は強い。あと、自分のダメ…

生きるってものすごくエネルギーがいるんだよ。

だから、笑ったりおいしいものを食べたりして補給しないと、ボクたちは生きられないんだよ。 ──アキ(『ひとつ海のパラスアテナ (3)』より) 昨日の言葉の続き。 まぁ、ただ漫然と食う寝るを繰り返すだけで、生きてはいけるんだけどね。 それって本当に生き…

生きることが辛いから死にたがってる。それって『生きて』ないんだよ。生きようとしないうちから死ぬなんてモッタイナイよ

ボクも心の中でずっと、『もう生きたくない』って思ってた時期があるよ。もう癖みたいに、ずっと(中略)でも、ある日気がついたんだ。物事が思うようにいかない時、ボクは『もう生きたくない』って思ってたんだって。死ねばそれで終わりだと思って、嫌なこ…

今が幸せなら変化は怖いことだけれど、現状に満足していたら冒険家にはなれないわ

変わらないように見えて、あんたもあたしも、人も世界も、どんどん変わっていくものよ。今が幸せなら変化は怖いことだけれど、現状に満足していたら冒険家にはなれないわ ──タカ(『ひとつ海のパラスアテナ (3)』より) 昨日紹介した言葉と対になるような言…

世界の『変化』を受け入れるには、自身に『変化』が必要だ。

アキを取り巻く環境は日々変化している。ひとつ海には陸が浮かぼうとしている。現状に満足しているからこそ、人間は変化を恐れる。 そんな世界の『変化』を受け入れるには、自身に『変化』が必要だ。 ──アキ(『ひとつ海のパラスアテナ (3)』より) 大陸が海…

生きるとはお金のかかることであり、お金を稼ぐためには技術が必要

夢や希望というものにあまり関心のないカミラにとって、生きるとはお金のかかることであり、お金を稼ぐためには技術が必要だというイングリドの教えはすんなりと腑に落ちた。 ──(『異世界居酒屋「のぶ」 二杯目』より) 薬師の師匠イングリドの言葉を思い返…

守破離なんて言葉がある。学んで、壊して、巣立つってことだな

「今のお前さんは、破だな。オレの教えという殻を、破ろうとしている。一番肝心な時だ」「壊して、巣立つ」「答えはどこにも書いてないぞ。お前自身が見つけるんだ。お客さんに育てて貰いながらな」 お客さんに育てて貰う、という言葉は、信之の胸にすとんと…

とりあえず──このままにしておこう

「とりあえず」と保留できることは、もしかしたらなによりの幸せなのかもしれない、ぼんやりとそう感じた。 ──高砂(『いでおろーぐ! (2) 』より) 色々問題は山積みなクライマックスでの主人公の言葉。 とりあえず保留。なんて甘美な響き。 現実問題、とり…

そんな居ても居なくても変わらないような空気のような存在になるくらいなら、死んだほうがマシだ!!

ただ何もせず、自分のやりたいこともなく、世間の目を気にして、流行に流されて、『常識』を無批判に受け入れて……それの何が青春だ! 私は、そんなのは、絶対に嫌だ──そんな居ても居なくても変わらないような空気のような存在になるくらいなら、死んだほうが…

季節は巡る──色々なものが、巡っていく

地球は一日に一回転、自転している。さらに地球は、太陽の周りを一年かけて一周する。そしてこの太陽系も、天の川銀河の端の方で、中心の周りに回転している。光の速さのおよそ0.1パーセント。ものすごいスピードだ。だが我々は、こうして立っていても、その…

だいたい、昔置き忘れてきたものなんて、忘れず取っておいた記憶や思い出に比べれば、大抵みすぼらしいものなんじゃないか

よく言うよ。自分でもみすぼらしいって言ったじゃないか。だいたい、昔置き忘れてきたものなんて、忘れず取っておいた記憶や思い出に比べれば、大抵みすぼらしいものなんじゃないか ──土御門夜光(『東京レイヴンズEX3』より) 過去編より。茨木童子と彼の千…

自分は幸せだと思った。

いま、自分がどれだけの苦境に身を置いているのだとしても。自分には、振り返ればそれだけで糧となる、確かな毎日の記憶があるのだから。 ──百枝天馬(『東京レイヴンズEX3』より) 塾の三年生になっての入学式。平穏だった過去を振り返りながら。 幸せな記…

己を認め、他者を認め、しかしそれを強制するな

自分が信じている神様も、相手が信じる神様も等しく認める。認めた上で相互理解を深めなさい。間違っても自分の神様を押し付けたり、他人の神様を貶めたりしない様に。勿論、細かい教則は幾つかあるけど……要約するとウーズ教はこの教義だけなの。異教の神様…

人間は一朝一夕では変わらない。

だけど、自分がだめな人間であることを、頑張らない理由にはしない。だめな人間なら、だめな人間なりに頑張ればいい。結果が出ないなら、我慢してまた頑張ればいい。人生は死ぬまでの我慢だ。それなら前を向いて歩きながら我慢しよう。 ──ロロニア・マンチェ…

死ぬまで諦めなければ、それについては悩まずに済む

「アドレットさん。もし、力を手に入れられなかったら……どんなに努力してもだめだったら、どうするの?」「……難しい問題だな」 アドレットは静かに笑う。「まあ、考える必要はねえさ。死ぬまで諦めなければ、それについては悩まずに済む」 ──アドレット・マ…

自分の好きなものがわかっている人って、素敵ですよね

「そうだな。僕にはとても、あんな風に一つの物事に入れ込むことはできない」と僕はいった。「多分、自分の趣味をそこまで信頼できないんだろうな」「わかります。きっとどこかで飽きるか挫折するだろうと思うと、つい予防線として手を抜いてしまうんですよ…

笑える者が強くなる

死んでしまいたいほど悲しい時。何もかも捨てて逃げ出したいほど苦しい時。光の見えぬ絶望の時。その中ですら、笑える者が強くなる ──アトロ・スパイカー(『六花の勇者』より) 主人公アドレットの師匠アトロの言葉。アドレットの回想より。自分が仲間を騙…

言いたいことも聞きたいこともすぐに言葉にしたほうがいい

言葉は時が経つほどに熟れていくが色を失っていくものでもある、から、ね──… ──ネヴィン(『魔法使いの嫁4』より) 自分自身の杖を作ったヒロインのチセ。完成したときその材料の死んで木になったドラゴンの想いが彼女の頭の中に広がる。 ネヴィンが死ぬ時の…

だれの言葉だったかは忘れたが、人間は魂のために、一日にふたつはしたくないことをしたほうがいいらしい。

だれの言葉だったかは忘れたが、人間は魂のために、一日にふたつはしたくないことをしたほうがいいらしい。 ──わたし(『月と六ペンス』より) 主人公である「わたし」のぼやき的言葉で、本筋にはちっとも関係ないんだけど、なんか惹かれちゃったからご紹介…

何も持っていない人間には、一つだけ強みがある。

何も持っていない人間には、一つだけ強みがある。失って困るものがないのだ。大切なものが一つあるだけで、人は常にそれを失う恐怖に苛まれるようになる。 ──深町陽介(『君が電話をかけていた場所』より) 主人公の深町の言葉。元々顔にひどい痣があって、…

度を過ぎた幸運っていうのは、そっとしておくのが一番なのよ。

「でもね、陽介。消えた痣のことなんて、忘れちゃいなさい。度を過ぎた幸運っていうのは、そっとしておくのが一番なのよ。変に騒いだり原因を究明しようとしたりするから、台なしになるの。こういうときは、『こんな幸運、どうってことないんだ』って顔して…

人が他人のためにしてあげらえることは、実際のところごくわずかですから

「そのですね、何か困ったことがあったら、遠慮なく私にいってください。そのときは、一緒に困ってあげます」「なるほど。解決してくれるわけではないんだな」「はい。人が他人のためにしてあげらえることは、実際のところごくわずかですから」 ──荻上千草(…

神頼みというのは、叶えるべき願いを知るためにあるんですよ

「あの、私だって、織姫や彦星が願いを叶えてくれるとは思っていませんよ」ペンを持って中空に目をやったまま、彼女はいった。「でも、自分が何を求めているかについて考えるにはよい機会です。どんなに幸運であろうと、自分がほっしているものを理解してい…